よくご相談いただくケース
アパート退去時の高額請求
「賃貸アパートを退去する際、高額な原状回復費用を請求された。」という相談が寄せられています。
原状回復とは「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」と定義されています。いわゆる経年変化、通常の使用による損耗等の修繕費用は、賃料に含まれるものとされ、貸主の負担となり、通常の使用を超えるような損耗、毀損については借主の負担と考えられています。
ポイント!
- 契約書に退去時の規定がどのように記載されているかを確認しましょう。
- 退去時の原状回復義務については、「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」が目安になります。ガイドラインを参考に負担範囲を確認した上で、精算金額に納得できなければ、貸主に申し入れ、交渉してみましょう。
- 喫煙については通常の使用による損耗とはされておらず、居室全体においてクロス等がヤニで変色したり臭いが付着した場合は、居室全体のクリーニングまたはクロスの貼替費用は借主負担とすることが妥当と考えられています。
- ペット可の物件について、ペットがつけた傷などについては原状回復義務があるといえる場合が多いでしょう。ペット可の物件では契約書に特約を定めているケースも多いので契約書をよく確認しましょう。ペットを飼育した場合には、臭いの付着や毛の残存、衛生の問題等があるので、その消毒の費用について賃借人負担とすることは合理的であり、有効な特約である、とされた判例があります。
- 当事者間で解決できないようであれば、民事調停の申立て、あるいは少額訴訟制度を利用することもできます。