相談データ・分析

2019上半期 消費生活相談の概要

2019年12月25日

自然災害に便乗した手口に注意
健康食品・化粧品の定期購入も引き続き増加

概況

  • 電話と来所による相談総件数は 10,007件で、前年同時期に比べて1,293件減少しました。
    ※この他、メールによる相談、本年5月より導入した電話のガイダンスによる応答も行っています。  【資料編 表1参照】
  • 契約者年齢でみると、未成年者、20歳代が増加する一方で30歳以上の相談が減少、特に60歳代70歳代が大きく減少しました。【資料編 グラフ2参照】
  • 相談内容では、第1位は架空請求はがきなど「商品一般」で1,838件、第2位はアダルト情報サイトや出会い系サイトなどの「デジタルコンテンツ」で739件、第3位はお試しのつもりが複数回の定期購入が必要だったなど「健康食品」で444件となっています。【資料編 表2参照】
  • 国の機関を騙ったはがきによる架空請求の相談が 1,243件で、前年同時期に比べ656件減少しました。

 

消費生活相談の特徴

(1) 自然災害に便乗した手口に注意

 自然災害に関連した相談が102件と、前年同時期の22件から約5倍に急増しました。相談内容としては、「台風で屋根などの破損があれば、火災保険を使って無料で工事ができます。保険の申請の代行もします。(工事・建築)」などと電話や訪問で勧誘されるという相談が多く、その他「台風で破損した屋根と外壁の修理をお願いしたが、請求書が見積金額より高額だった。納得できない。(修理サービス)」「借りているアパートが雨漏りしたが、大家が修理に応じない。(不動産貸借)」等深刻な台風被害に伴う相談も寄せられました。

 

 【図2】自然災害に関する相談件数

2019上半期の自然災害に関する相談件数は102件 前年同時期から約5倍

【図3】自然災害に関する相談の内訳 

自然災害に関する相談の内訳 工事・建築 36件、修理サービス19件、不動産貸借12件

【相談事例】
 数日前に「先日の台風で壊れているところはないですか」と電話があった。「雨樋が壊れているようなので気になる」と伝えたところ、「保険で直せます」と言われ訪問を了承した。昨日、担当者が調査に来て、加入している保険会社に連絡していた。担当者に勧められるままに契約書に署名したが、後で工事代金が高額になるのではないかと不安だ。(80歳代 女性)

【アドバイス】
 火災保険を利用して雨樋などの修理ができると言って近づき、保険会社への申請代行費用を請求したり、高額なリフォーム工事を契約させる等のトラブル相談が寄せられています。家屋の修理が火災保険の対象となるかどうかは、保険会社の判断となり必ずしも保険金がおりるとは限りません。また、保険申請代行をキャンセルしたり、指定工事業者で工事しない場合は、高額な解約料を請求される可能性もあります。契約は慎重にしましょう。

(2) 定期購入の相談が引き続き増加

 SNSの広告から「初回限定」「モニター」「お試し」「返品保証」などのキャッチコピーを見て、健康食品や化粧品を注文したところ、複数回の定期購入が条件だったという相談が多く寄せられています。
 契約者年代ごとの件数でみると、40歳代~60歳代が多くなっています。また、未成年者からも62件の相談が寄せられており、未成年者からの相談のうち4人に1人(24.3%)が定期購入の相談をしている計算になります。

【図7】定期購入の相談件数

定期購入の相談件数 2019上半期531件 前年同期の約2倍

【図8】契約者年代別の定期購入相談件数と定期購入相談が占める割合

契約者年代ごとの件数 40歳代100件、50歳代125件、60歳代96件

 

【相談事例】
 先日、お試し価格980円の脱毛クリームをスマホから注文した。昨日、同じ商品が届いて定期購入になっていると分かった。事業者に連絡すると「返品は受けません。初回分と2回目を通常価格に戻し購入すれば解約を承る」と言われた。そんな高額な脱毛クリームは要らない。解約返品したい。(40歳代女性)

【アドバイス】
 通信販売で購入したものを解約・返品する場合には、原則として事業者の定めた返品特約に従うことになります。(返品の可否・条件を表示していない場合には、8日間は解約・返品は可能です)また、定期購入の場合は、最低購入回数が定められているのであればその回数と、最低購入回数まで購入した際の合計金額を容易に認識できる方法で明記することが定められています。購入の際には、返品条件などをよく確認しましょう。

(3) 「モノなしマルチ※1 商法」で若者に被害

※1 『商品』ではなく、投資や副業などのノウハウやサービスを提供する『役務』のマルチ商法

 マルチ商法に関連する相談が前年同時期に比べ微増(9件)しています。相談の内容で見ると、健康食品など『商品』に関する相談は減少傾向にありますが、投資や副業など『役務』に関連する相談が増加しています。契約者でみると、20歳代からの相談が50件(52.1%)と突出して多く、そのうち男性からの相談が37件を占めています。特に、成人したての20歳~22歳、次いで社会人経験の浅い就職したての23歳~25歳からの相談が多く注意が必要です。



【図4】モノなしマルチ相談件数
マルチ商法に関する相談 2019上半期96件 前年同時期87件

 

【図5】契約者年代・性別内訳
契約者年代・性別内訳 20歳代男性17件 女性13件

【図6】契約者年齢詳細

契約者年齢詳細 20歳12件 21歳7件 22歳7件 23歳6件 24歳7件 25歳4件

【相談事例】
 中学時代の友人から「バイナリーオプション※2 に興味がないか。簡単に儲かる」と勧められ、カフェで説明を聞いた。「当社がコンサルティングでサポートするので大丈夫」と言われ会員登録と情報料として40万円の契約をした。一括で支払えないと伝えたら、その場でクレジットカードを作るよう言われ、ショッピング枠で上限30万円をリボ払いし、残りはキャッシングするよう言われ現金で手渡した。その後USBを受け取ったが期待した内容ではなく、「知り合いを紹介したら一人10万円の収入になる」など『勧誘』を強く勧められ、結局バイナリーオプションのサポートはなく不信感を抱いた。解約して返金を求めたい。(20歳代 男性)

※2 バイナリーオプション取引とは、為替相場等が上がるか下がるかを予想するもので、取引期間終了時に事前に定めた価格を上回った(または下回った)場合に、一定額の金銭(ペイアウト)を受け取ることができる取引です。

【アドバイス】
 「モノなしマルチ商法」は、事業者の実態と儲け話の仕組みが不明で、勧誘時の説明と異なり全く儲からないなどの相談が多く寄せられます。また、事業者との連絡先がSNSやメールなどに限られている場合は、解約交渉が大変難しくなります。簡単に稼げるという儲け話を鵜呑みにせず、くれぐれも安易にクレジットカードでの高額決済や借金をすることはやめましょう。

 

消費生活相談概要(資料編)

(2019年4月1日~2019年9月30日)

相談受付件数 (表1)

単位:件、(%)

区分2019上半期2018上半期増減【増減率】
苦情相談 9,575(95.7) 10,736(95.0) -1,161(-10.8)
問合せ 432(4.3) 564(5.0) -132(-23.4)
10,007(100.0) 11,300(100.0) -1,293(-11.4)
       
その他 ※ 1,581(-) 276(-) 1,305(427.8)
再計 11,588(-) 11,576(-) 12(0.1)

 ※メールによる相談件数と、相談電話のガイダンス内容のみで納得された件数

契約者の男女別内訳(グラフ1)

 契約者の男女別内訳 女性5720件 男性3789件

 

契約者年代別内訳(グラフ2)

 契約者年代別内訳

 

相談の上位10品目  商品・役務別件数(表2)

単位:件、(%)

順位商品・役務名2019上半期2018上半期増減【増減率】
1 商品一般 1,838(18.4) 2,493(22.1) -655(-26.3)
2 デジタルコンテンツ 739(7.4) 1,368(12.1) -629(-46.0)
3 健康食品 444(4.4) 281(2.5) 163(58.0)
4 工事・建築 405(4.0) 407(3.6) -2(-0.5)
5 不動産貸借 397(4.0) 434(3.8) -37(-8.5) 
6 インターネット接続回線 292(2.9) 321(2.8) -29(-9.0)
7 役務その他サービス 271(2.7) 208(1.8) 63(30.3) 
8 携帯電話サービス 225(2.2) 225(2.0) 0(0) 
9 修理サービス 158(1.6) 150(1.3)  8(5.3) 
10 他の化粧品 143(1.4) 54(0.5)  89(164.8)
その他 5,095(50.9)  5,359(47.4) -264(-4.9) 
10,007(100.0) 11,300(100.0) -1,293(11.4)
【国民生活センターの商品・役務別分類】
商品一般・・・商品の特定が出来ない/身に覚えのない架空請求等に関するもの
デジタルコンテンツ・・・インターネットを通じて得られる情報で、アダルト情報サイト・出会い系サイト等の不当請求に関するもの
不動産貸借・・・賃貸住宅退去時の修繕費等に関するもの
工事・建築・・・屋根工事・増改築工事・衛生設備工事等に関するもの
インターネット接続回線・・・プロバイダやインターネット回線の料金やサービスの内容に関するもの
携帯電話サービス・・・携帯電話サービス等への加入・利用に関するもの
役務その他サービス・・・サービス業のうち「金融・保険」「運輸・通信」「教育」「教養・娯楽」「保健・福祉」「外食・食事宅配」「冠婚葬祭」「家事」などのサービスに該当しない役務に関するもの。ESTA申請代行等。
他の化粧品・・・香水、マニキュア、脱毛剤などに関するもの

 

年代別上位5品目  商品・役務別件数(表3)

順位12345
未成年者 デジタルコンテンツ
73
他の化粧品
39
健康食品
30
商品一般
8
基礎化粧品
8
20歳代 デジタルコンテンツ
99
不動産貸借
57
エステサービス
51
教養・娯楽サービスその他
37
商品一般
34
30歳代 不動産貸借
95
デジタルコンテンツ
71
商品一般
40
健康食品
29

インターネット接続回線
23

40歳代 デジタルコンテンツ
113
商品一般
111
健康食品
81
不動産貸借
76

携帯電話サービス
48

50歳代 商品一般
366
デジタルコンテンツ
134
健康食品
97
不動産貸借
57
工事・建築
57
60歳代 商品一般
475
デジタルコンテンツ
111
健康食品
86
工事・建築
77
インターネット接続回線
64
70歳代 商品一般
553
デジタルコンテンツ
96
工事・建築
86
インターネット接続回線
58
健康食品
48
80歳以上 商品一般
132
工事・建築
83
役務その他サービス
35
健康食品
30

修理サービス
25

  

利用上の注意
各表における区分毎の各割合(%)の数値は、小数点第2位で四捨五入しています。
このため、区分毎の割合の合計は100%にならない場合があります。

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