相談データ・分析
令和元年度 消費生活相談の傾向
昨年度は、例えば「『初回限定500 円!』の広告を見てお試しのつもりで購入したら定期購入だった」等の定期購入トラブルに関する相談が倍増しました。また、大型台風の被害に便乗した、家屋修理トラブルなどの相談が多く寄せられました。
更に、今年に入って猛威を振るっている新型コロナウイルス感染症関連の相談も寄せられており、注意が必要です。
知らないあいだに健康食品や化粧品の「定期購入」契約に
激安のインターネット広告を見て初回限定をお試しのつもりで購入したら定期購入だった等の相談が1,154件で、幅広い年代から寄せられました。
- 定期購入トラブルが倍増
昨年度の約2倍!
- 特に40~60歳代で増加傾向
昨年度に比べ全年代で増加!
- 健康食品に関する相談が増えています
品目別相談件数
- 電子広告(SNS)が全体の9割以上
「定期購入」の広告媒体
広告媒体 件数 割合(%) 電子広告(SNS) 1,105件 95.8% 新聞広告 9件 0.8% 折込広告 6件 0.5% 雑誌広告 4件
0.3% テレビ広告 3件 0.3% カタログ・パンフレット 2件 0.2% 投込広告 1件 0.1% 不明 24件 2.1% 合計 1,154件 100%
台風被害で「損害保険金が使えます」という家屋修理の契約に注意
大型台風19号の被害により、家屋の修理に関するトラブルなど97件の相談がありました。そのうち、損害保険に関連した相談は42件となっています。
- 50歳代の持ち家世代、70歳代の在宅世代の相談が多い
契約者年代別件数
- 損害保険に関する相談は42件
品目別相談件数
<全体概況>
- センターに寄せられた消費生活相談受付件数は 21,797件
(うち電話等による苦情相談・問合せは19,420件) (資料編 表1)
- 60歳以上の人口割合は約30%ですが、消費生活相談割合は約40% (グラフ1)
- 30歳代以上では相談が減少している中、未成年と20歳代の若者による相談は増加 (グラフ2)
【グラフ1 相談件数と高齢者の占める割合】
【グラフ2 契約者年代別相談件数】
【速報】新型コロナウイルス関連の相談
令和2年1月中旬より徐々に相談が寄せられ、3月末までに結婚式・旅行のキャンセルトラブルやマスクの送り付け商法などの相談が345件となりました。
新年度に入っても、多くの相談が寄せられています。
月別相談件数(速報値)
(1)定期購入トラブル
1か月前、ネット上の広告で青汁が初回500円と出ていたので購入した。お試しのつもりで購入したが2日前に2回目の商品が届いた。同封の説明書を見たところ、定期購入だった事に気づいた。代金1万円はコンビニ後払いで振込用紙を2週間以内に送付すると書いてある。解約しようと思い事業者に電話したところ、「定期購入になる旨を広告に記載している。解約は次回発送分以降しか出来ない」と言われた。広告を見ると確かに記載があるので見落としたかもしれないが、本当に解約出来ないか。
(30歳代 男性)
タスケからのアドバイス
インターネット通販をはじめ通信販売ではクーリング・オフ※1制度はなく、広告に表示された返品・解約の可否等は、原則、事業者が定めているルールに従うことになります。
しかし、トラブル防止のため「特定商取引法」では定期購入契約について、最終画面に「最低購入回数」や「支払い総額」の表示をするように定めています。
商品を注文する際には、定期購入が条件となっていないか、解約・返品できるかどうか「解約・返品できる場合の条件」などしっかり確認することが大切です。
また、最終確認画面を印刷したり、スクリーンショットを撮るなどして、契約内容を記録しておきましょう。
(2)大型台風などの災害便乗トラブル
昨日、高齢で一人暮らしの私は、執拗にインターホンを鳴らされたため玄関に応対にでたところ、事業者から「家の雨樋が壊れている。台風で壊れたものだと思われるので保険を使えば費用は掛からず修理ができる。」と言われた。私は風水害の保険には入っていないと伝えたが、「交渉をすれば大丈夫だ」と言い、玄関先で損害保険会社に電話をしていた。そして「雨樋だけではだめなので、屋根がめくれたという写真が必要だ。後日写真を撮りに来る。」といい、「保険申請及び工事請負契約書」を渡された。私は修理を頼むつもりはないし、不審なのでクーリング・オフしたい。
(80歳代 男性)
タスケからのアドバイス
保険金は保険加入者が損害の事実に基づいて申請する事が基本です。
損害保険会社や代理店へ連絡する前に、悪質な事業者から、「保険金で自己負担なしに修理できる」などと勧誘され契約してしまうと、あとになって高額な解約手数料を要求されるなどのトラブルに巻き込まれてしまうことがあります。
突然、事業者から勧誘されても、決して安易に契約しないでください。消費者に十分な説明がないまま契約や着工をせかす事業者などには注意が必要です。
訪問販売や電話勧誘販売で住宅修理サービス等を契約した場合、8日間はクーリング・オフが可能です。センターに相談してください。
(3)新型コロナウイルス関連トラブル
2日前、ポストに「マスク5枚」と書いてある荷物が届いた。発送元の会社名に心当たりは無く、開封すると手紙や注文書、請求書等は入っていなかった。新型コロナウイルスの影響でマスクが手に入らないので使いたい気持ちはあるが不審である。注文した覚えはなく、全く心当たりがない。今後請求書が届くのだろうか。どうしたらよいか。
(60歳代 女性)
タスケからのアドバイス
身に覚えがない商品が届いたときは、慌てて事業者に連絡したりせず、まずは家族、親戚、知人などから送られたものか確認しましょう。送り付け商法(ネガティブオプション※2)の場合は、事業者に引取りを依頼してから7日間、また、相手先に連絡しなくとも14日間を経過すれば処分が可能となります。後日、請求書が届いたり、クレジットカードで決済されていないか確認するようにしましょう。
※1 クーリング・オフ…訪問販売や電話勧誘販売など不意打ち性のある勧誘で契約した際に、冷静に考え直す時間を与え、一定の期間内であれば無条件で申し込みの撤回や契約の解除ができる制度
※2 ネガティブオプション…契約を結んでいないのに商品を勝手に送ってきて、受け取ったことで、支払義務があると消費者に勘違いさせて代金を支払わせようとする商法
消費生活相談概要(資料編)
令和元(2019)年度(平成31年4月1日~令和2年3月31日)
利用上の注意
各表における区分毎の各割合(%)の数値は、小数点第2位で四捨五入しています。このため、区分毎の割合の合計は100%にならない場合があります。
相談受付件数 (表1)
区分 | 令和元年度 | 平成30年度 | 増減(対前年度増減率) |
---|---|---|---|
苦情相談 | 18,413件(94.8%) | 20,944件(94.9%) | -2,531件(-12.1%) |
問合せ | 1,007件(5.2%) | 1,121件(5.1%) | -114件(-10.2%) |
計 | 19,420件(100.0%) | 22,065件(100.0%) | -2,645件(12.0%) |
相談電話音声ガイダンス※ | 1,796件( - ) | - ( - ) | 1,796件( - ) |
メール相談 | 581件( - ) | 520件( - ) | 61件(11.7%) |
計 | 2,377件( - ) | 520件( - ) | 1,857件(357.1%) |
合計 | 21,797件( - ) | 22,585件( - ) | -788件(-3.5%) |
※相談電話音声ガイダンス・・・IVR電話システムの受付項目「架空請求はがき」に関する相談で、ガイダンスに納得したため電話相談までには至らず解決したとみなしたもの。ガイダンスとは別に「架空請求はがき」に関する電話相談は1,368件(平成30年度3,969件)。
契約者性別等件数(表2)
区分 | 令和元年度 | 平成30年度 | 増減(対前年度増減率) |
---|---|---|---|
女性 | 10,625件(60.0%) | 13,248件(55.0%) | -2,623件(-19.8%) |
男性 | 7,791件(35.4%) | 7,821件(40.2%) | -30件(-0.4%) |
団体 | 528件(2.6%) | 568件(3.0%) | -40件(-7.0%) |
不明 | 476件(1.9%) | 428件(1.8%) | 48件(11.2%) |
計 | 19,420件(100.0%) | 22,065件(100.0%) | -2,645件(12.0%) |
相談の上位10品目 商品・役務別件数(表3)
順位 | 商品・役務名 | 令和元年度 | 平成30年度 | 増減(対前年度増減率) |
---|---|---|---|---|
1 | 商品一般 | 2,577件(13.3%) |
5,185件(23.5%) |
-2,608件(-50.3%) |
2 | デジタルコンテンツ | 1,470件(7.6%) | 2,386件(10.8%) | -916件(-38.4%) |
3 | 健康食品 | 979件(5.0%) | 569件(2.6%) | 410件(72.1%) |
4 | 不動産貸借 | 837件(4.3%) | 831件(3.8%) | 6件(0.7%) |
工事・建築 | 837件(4.3%) | 806件(3.7%) | 31件(3.8%) | |
6 | インターネット接続回線 | 640件(3.3%) | 564件(2.6%) |
76件(13.5%) |
7 | 役務その他サービス | 549件(2.8%) | 427件(1.9%) | 122件(28.6%) |
8 | 携帯電話サービス | 432件(2.2%) | 460件(2.1%) | -28件(-6.1%) |
9 | 基礎化粧品 | 335件(1.7%) | 224件(1.0%) | 111件(49.6%) |
10 | 修理サービス | 312件(1.6%) | 299件(1.4%) | 13件(4.3%) |
その他 | 10,452件(53.8%) | 10,314件(46.7%) | 138件(1.3%) | |
計 | 19,420件(100.0%) | 22,065件(100.0%) | -2,645件(-12.0%) |
【国民生活センターの商品・役務別分類】
商品一般・・・商品の特定が出来ない相談や、身に覚えのない架空請求(はがき)等に関するもの
デジタルコンテンツ・・内容が不明なサイト利用料の(架空)請求メール「デジタルコンテンツ一般」や、「アダルト情報サイト」「出会い系サイト」「オンラインゲーム」等に関するもの
不動産貸借・・賃貸住宅退去時の修繕費等に関するもの
工事・建築・・・屋根工事・増改築工事・衛生設備工事等に関するもの
インターネット接続回線・・プロバイダやインターネット回線の料金やサービスの内容に関するもの
役務その他サービス・・・サービス業のうち「金融・保険」「運輸・通信」「教育」「教養・娯楽」「保健・福祉」「外食・食事宅配」「冠婚葬祭」「家事」などのサービスに該当しない役務に関するもの
携帯電話サービス・・・携帯電話サービス等への加入・利用に関するもの
基礎化粧品・・・「化粧水」「乳液」「化粧クリーム」「パック」等に関するもの
修理サービス・・・携帯電話、家電、自動車の修理に関するもの
年代別上位5品目 商品・役務別件数(表4)
順位 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
---|---|---|---|---|---|
未成年者 | デジタルコンテンツ 129件 |
健康食品 82件 |
他の化粧品 |
基礎化粧品 |
商品一般 18件 |
20歳代 | デジタルコンテンツ 192件 |
不動産貸借 135件 |
エステサービス 79件 |
教養・娯楽サービス 72件 |
健康食品 68件 |
30歳代 | 不動産賃借 194件 |
デジタルコンテンツ 130件 |
商品一般 83件 |
健康食品 66件 |
インターネット接続回線 46件 |
40歳代 | デジタルコンテンツ 235件 |
商品一般 206件 |
健康食品 185件 |
不動産賃借 146件 |
インターネット接続回線 |
50歳代 | 商品一般 464件 |
デジタルコンテンツ 244件 |
健康食品 1240件 |
工事・建築 124件 |
不動産貸借 120件 |
60歳代 | 商品一般 582件 |
デジタルコンテンツ 225件 |
健康食品 170件 |
工事・建築 134件 |
インターネット接続回線 125件 |
70歳代 | 商品一般 723件 |
デジタルコンテンツ 214件 |
工事・建築 212件 |
インターネット接続回線 131件 |
健康食品 93件 |
80歳以上 | 商品一般 232件 |
工事・建築 160件 |
役務その他サービス 68件 |
インターネット接続回線 67件 |
健康食品 56件 |
【お問合せ先】
経済局消費経済課長 津留 玲子
横浜市消費生活総合センター長 大澤 吉輝
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