相談データ・分析
令和2年度 消費生活相談の傾向
昨年度は、新型コロナウイルス感染症に関連した相談が多く寄せられ、中でも”巣ごもり消費”によるインターネット通販でのトラブルが多くみられました。
また、屋根の点検をきっかけとしたトラブルも例年より増加しました。外出自粛により在宅期間が増えた影響と思われます。
"巣ごもり消費”によるインターネット通販相談が増加
インターネット通販に関連した相談は 5,647件(全体の 35.8%)で、令和元年度より 335件(6.3%)増えています。(事例1参照)
また、デジタルコンテンツに関する相談の他、健康食品や化粧品の定期購入トラブルが多く寄せられており、特に未成年者からの相談割合が高くなっています。
インターネット通販の決済手段に、匿名性が高いプリペイドカードなど『電子マネー』利用に関連した相談は 140件で増加傾向にあります。年代別では 40歳代~50歳代の利用が多く見られます。
- インターネット通販の相談件数
- インターネット通販の商品・役務別相談件数順位
- インターネット通販における定期購入の年代別相談件数
- インターネット通販における電子マネー利用に関する年度別及び年代別相談件数
新型コロナウイルス関連の相談
4月をピークに 1,705件寄せられました。相談件数は、マスク当の送り付けに関する「保健衛生品その他」が1位で 353件でした。相談全体の件数に占めるコロナ関連の件数割合では、「結婚式」が 90.3%(件数4位)、「手配旅行」が 88.6%(件数8位)と、高い割合となりました。(事例2参照)
- 新型コロナウイルス関連の相談件数
- 新型コロナウイルス関連の相談件数順位
屋根の点検商法も増加
屋根等の点検商法によるトラブルが 86件あり、30歳代~50歳代からの相談も増加しました。(事例3参照)
- 点検商法による屋根工事の相談件数
- 点検商法による屋根工事の年代別相談件数
<全体概況>
- センターに寄せられた消費生活相談受付件数は 16,819件
(うち電話等による苦情相談・問合せは15,764件) (資料編 表1)
- 年代別割合では、未成年者~50歳代までが増加 (グラフ1)
- 40歳代、50歳代の第1位に健康食品 (表1)
- 60歳以上の消費生活相談に占める割合は 34.3%(グラフ1)
【表1 年代別上位3品目 商品・役務別件数】
【グラフ1 全相談件数の年代別割合】
(1)インターネット通販関連のトラブル
5日前、スマホの広告で「初回お試し500円。いつでも解約できる」というダイエットサプリを見つけたので注文した。2日後に商品が届き中身を確認したところ、同封されていた書面に「2回目は4か月分で16袋を届けます。総額4万円」と書かれていて定期購入だと気づいた。私が申し込んだ画面はすでに見ることができないし、保存もしていない。いつでも解約できると書かれていたが、事業者には規約にあるように2回目を受け取り、支払い後でないと解約できないと言われた。初回のみで解約できないのか。
(40歳代 女性)
タスケ※1からのアドバイス
インターネット通販をはじめ通信販売ではクーリング・オフ※2制度はなく、返品・解約の可否等は、原則、事業者が定めているルールに従うことになります。
定期購入契約については、最終確認画面に「最低購入回数」や「支払い総額」の表示をするよう、特定商取引法で定められています。
商品を注文する際には、定期購入が条件となっていないか、解約・返品できるかどうか解約・返品できる場合の条件などしっかり確認することが大切です。
また、最終確認画面を印刷したり、スクリーンショットを撮るなどして、契約内容を記録しておきましょう。
(2)新型コロナウイルス関連のトラブル
昨年に結婚式を予定していたが、新型コロナウイルスの感染が心配だったので、予定日の2週間前に式場と相談して1年後に延期した。しかし、感染の不安が続いているので式場にキャンセルの意向を伝えたところ、挙式費用400万円の45%をキャンセル料として請求すると言われた。式場側は規約通りのキャンセル料だというが、高額で納得いかない。
(20歳代 男性)
タスケからのアドバイス
新型コロナウイルス発生により結婚式を延期したが、いまだに収束せずキャンセルしたいという相談が多数寄せられています。通常、結婚式のキャンセル料については規約や約款に従うことになりますが、コロナ感染拡大が問題になっている時期のキャンセルについては、やむを得ない事情によるキャンセルとも考えられ、「お客様都合による解約」の規定がそのまま適用されない可能性もあると思います。キャンセル料の算定根拠を確認するとともに、納得できない点は事業者に申し入れ双方で話し合いましょう。
※新型コロナウイルス関連の相談では、旅行やスポーツジムの休会等の相談も多くなっています。
(3)屋根の点検商法関連のトラブル
先週、近所で工事をすると事業者が挨拶に来た際、「お宅の屋根瓦がずれている。無料で見よう」と言われ依頼した。点検後、補強工事が必要だと言うので見積りをしてもらったところ、数日後に350万円の見積りを持ってきたので契約を結んだ。工事初日に更に工事が必要と言われ、総額580万円と高額な契約になってしまった。解約したい。
(60歳代 男性)
タスケからのアドバイス
「無料で点検してあげる」と言われお願いしたら、修理が必要だと言われ高額な屋根工事の契約を結んでしまったという相談が寄せられています。在宅時間が増えていますが、突然の来訪者には注意が必要です。その場では契約せず、工事が必要であるのであれば、まずは複数社で見積りを取り比較するなど、慎重に判断するようにしましょう。
※1 横浜市消費生活総合センターの啓発キャラクター
※2 クーリング・オフ…訪問販売や電話勧誘販売など不意打ち性のある勧誘で契約した際に、冷静に考え直す時間を与え、一定の期間内であれば無条件で申し込みの撤回や契約の解除ができる制度
消費生活相談概要(資料編)
令和2(2020)年度(令和2年4月1日~令和3年3月31日)
利用上の注意
各表における区分毎の各割合(%)の数値は、小数点第2位で四捨五入しています。このため、区分毎の割合の合計は100%にならない場合があります。
相談受付件数 (表1)
区分 | 令和2年度 | 令和元年度 | 増減(対前年度増減率) |
---|---|---|---|
苦情相談 | 14,938件(94.8%) | 18,413件(94.8%) | -3,475件(-18.9%) |
問合せ | 826件(5.2%) | 1007件(5.2%) | -181件(-18.0%) |
計 | 15,764件(100.0%) | 19,420件(100.0%) | -3,656件(-18.8%) |
相談電話音声ガイダンス※ | 310件(29.4%) | 1,796件(75.6%) | -1,486件(-82.7%) |
メール相談 | 745件(70.6%) | 581件(24.4%) | 164件(28.2%) |
計 | 1,055件(100.0%) | 2,377件(100.0%) | -1,322件(-55.6%) |
合計 | 16,819件( - ) | 21,797件( - ) | -4,978件(-22.8%) |
※相談電話音声ガイダンス・・・IVR電話システムの受付項目「架空請求はがき」に関する相談で、ガイダンスに納得したため電話相談までには至らず解決したとみなしたもの。
契約者性別等件数(表2)
区分 | 令和2年度 | 令和元年度 | 増減(対前年度増減率) |
---|---|---|---|
女性 | 8,100件(51.4%) | 10,625件(54.7%) | -2,525件(-23.8%) |
男性 | 6,763件(42.9%) | 7,791件(40.1%) | -1,028件(-13.2%) |
団体 | 430件(2.7%) | 528件(2.7%) | -98件(-18.6%) |
不明 | 471件(3.0%) | 476件(2.5%) | -5件(-1.1%) |
計 | 15,764件(100.0%) | 19,420件(100.0%) | -3,656件(-18.8%) |
相談の上位10品目 商品・役務別件数(表3)
順位 | 商品・役務名 | 令和2年度 | 令和元年度 | 増減(対前年度増減率) |
---|---|---|---|---|
1 | デジタルコンテンツ | 1,293件(8.2%) |
1,470件(7.6%) |
-177件(-12.0%) |
2 | 商品一般 | 1,131件(7.2%) | 2,577件(13.3%) | -1,446件(-56.1%) |
3 | 健康食品 | 963件(6.1%) | 979件(5.0%) | -16件(-1.6%) |
4 | 不動産貸借 | 744件(4.7%) | 837件(4.3%) | -93件(-11.1%) |
5 | 工事・建築 | 664件(4.2%) | 837件(4.3%) | -173件(-20.7%) |
6 | 役務その他サービス | 455件(2.9%) | 549件(2.8%) | -94件(-17.1%) |
7 | 保健衛生品その他 | 405件(2.6%) | 113件(0.6%) | 292件(258.4%) |
8 | インターネット接続回線 | 396件(2.5%) | 640件(3.3%) | -244件(-38.1%) |
9 | 携帯電話サービス | 368件(2.3%) | 432件(2.2%) | -64件(-14.8%) |
10 | 修理サービス | 285件(1.8%) | 312件(1.6%) | -27件(-8.7%) |
その他 | 9,060件(57.5%) | 10,674件(55.0%) | -1,614件(-15.1%) | |
計 | 15,764件(100.0%) | 19,420件(100.0%) | -3,656件(-18.8%) |
【国民生活センターの商品・役務別分類】
デジタルコンテンツ・・内容が不明なサイト利用料の(架空)請求メール「デジタルコンテンツ一般」や、「アダルト情報サイト」「出会い系サイト」「オンラインゲーム」等に関するもの
商品一般・・・商品の特定が出来ない相談や、身に覚えのない架空請求(はがき)等に関するもの
健康食品・・・酵素食品、高麗人参茶などの定期購入等に関するもの
不動産貸借・・賃貸住宅退去時の修繕費等に関するもの
工事・建築・・・屋根工事・増改築工事・衛生設備工事等に関するもの
役務その他サービス・・・サービス業のうち「金融・保険」「運輸・通信」「教育」「教養・娯楽」「保健・福祉」「外食・食事宅配」「冠婚葬祭」「家事」などのサービスに該当しない役務に関するもの
保健衛生品その他・・・マスクが不足している/身に覚えのないマスクが送られてきた等の相談に関するもの
インターネット接続回線・・プロバイダやインターネット回線の料金やサービスの内容に関するもの
携帯電話サービス・・・携帯電話サービス等への加入・利用に関するもの
修理サービス・・・携帯電話、家電、自動車の修理に関するもの
年代別上位5品目 商品・役務別件数(表4)
順位 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
---|---|---|---|---|---|
未成年者 | デジタルコンテンツ 139件 |
健康食品 62件 |
他の化粧品 |
商品一般 |
携帯電話サービス 10件 |
20歳代 | デジタルコンテンツ 232件 |
不動産貸借 152件 |
健康食品 90件 |
商品一般 76件 |
エステサービス 66件 |
30歳代 | 不動産貸借 170件 |
デジタルコンテンツ 130件 |
健康食品 89件 |
商品一般 80件 |
工事・建築 43件 |
40歳代 | 健康食品 172件 |
デジタルコンテンツ 157件 |
不動産貸借 142件 |
商品一般 132件 |
工事・建築 |
50歳代 | 健康食品 264件 |
デジタルコンテンツ 189件 |
商品一般 174件 |
不動産貸借 102件 |
工事・建築 89件 |
60歳代 | 商品一般 182件 |
デジタルコンテンツ 174件 |
健康食品 117件 |
工事・建築 99件 |
保健衛生品その他 70件 |
70歳代 | 商品一般 218件 |
デジタルコンテンツ 158件 |
工事・建築 109件 |
役務その他サービス 98件 |
健康食品 82件 |
80歳以上 | 工事・建築 149件 |
商品一般 97件 |
健康食品 64件 |
デジタルコンテンツ 58件 |
携帯電話サービス 43件 |
【お問合せ先】
経済局消費経済課長 永峯 浩子
横浜市消費生活総合センター長 魚本 一司
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