相談データ・分析

令和4年度 消費生活相談の傾向

2023年07月10日

 令和4年度の消費生活相談の特徴として、契約したつもりがない「定期購入」や、身に覚えのない請求などの“意図しない契約・請求等”に関するトラブルがあげられます。スマートフォンがより身近なものとなり、メッセージのやりとりやオンラインショッピングの活用が一般化した影響と思われます。

 「定期購入」などの“意図しない契約・請求等”、「エステサービス」及び新たに成人となった「18歳・19歳を含む若年層」からの契約に関するトラブルの相談傾向について、お知らせします。

 

1 “意図しない契約・請求等”に関するトラブルの相談が増加(下記事例1参照)

(1)「お試し」で一度だけ購入したつもりが、意図しない「定期購入」に

 ウェブサイトやSNS等で「お試し」、「初回限定価格」、「購入回数の条件なし」等の広告を見て販売サイトにアクセスし、定期購入の意図なく注文したところ、初回受け取り後に2回目の高額な商品が届き、契約した覚えがないとして、センターに多く相談が寄せられました。特に50~80歳代で相談が昨年度から約1.8倍に増加し、そのうちの多くが電子広告(SNS)を見たことがきっかけでした。

  1. 通信販売からの定期購入トラブルが増加
    令和3年度895件、令和4年度1,573件(約1.8倍増)

  2. 50歳代~80歳代で倍増傾向
    50歳代~80歳代合計 令和3年度558件が令和4年度1,145と倍増

  3. 50歳代~80歳代の購入のきっかけは電子広告(SNS)
    電子公告(SNS)97.7%、その他2.3%

 

(2)身に覚えのない請求等に関する相談が依然として絶えず

 利用した覚えのない請求等に関する相談も高い年代のかたから多く寄せられました。実在する大手の事業者や、国税庁などの行政機関をかたってメールやショートメール(SMS)を送り、支払いを求めたり、クレジットカード番号を含む個人情報を入力するよう誘導したりする「フィッシング」によるケースがみられます。

 

  1. 年齢層の上昇ともにフィッシングの相談も増加
    70歳代 令和3年度15件が令和4年度33件と約2.2倍増

  2. 70歳代の被害のきっかけはメール・ショートメール(SMS)
    メール60.6%、ショートメール(SMS)27.3%、その他12.1%

 

 

2 “エステサービス”契約トラブルが増加(下記事例2参照)

 エステサービスの相談が昨年度から約3.6倍増加し、特に脱毛エステに関する相談が多く寄せられました。傾向として18歳~29歳のかたの相談が昨年度から4倍となっています。

 安さや気軽さを強調した広告を見て話を聞くだけのつもりが、高額なコースを勧誘され契約したというケースのほか、長期間のコースの途中で事業者の経営事情が変わり通えなくなった、解約後返金されない、中途解約での精算金が割高だったというケースも多く見受けられました。

 

  1. エステサービスの相談件数
    令和3年度159件が令和4年度578件で約3.6倍増

  2. うち83.7%が脱毛エステの相談
    脱毛エステ83.7%、痩身エステ6.9%、エステ総合4.2%、美顔エステ4.0%、他のエステ1.2%

  3. 年代別では18歳~29歳が4倍増
    18歳~29歳 令和3年度104件が令和4年度419件と4倍増


 

3 “新成人18歳・19歳を含む若年層”からの相談(下記事例3参照)

 令和4年4月1日から成年年齢が18歳になり、18歳・19歳が新たに成人となってから1年が経ちました。成人すると、親権者の同意なく契約を締結できるようになるため、契約トラブルに巻き込まれる危険性が高まります。令和4年度は18歳・19歳が契約当事者であるトラブルの相談が177件寄せられました(前年度比約25%増)。トラブルの未然防止のため、18歳・19歳を含む若年層から寄せられた相談傾向をまとめました。

 

若年層(25歳まで)から寄せられた相談<上位5位>

順位12345
17歳以下 インターネットゲーム
73件
化粧品
33件
健康食品
19件
アダルト情報
9件
商品一般
6件
18歳・19歳 エステサービス
42件
異性交際関連サービス
17件
商品一般
12件
コンサート
6件
他の娯楽等情報配信サービス
5件
20歳・21歳 エステサービス
71件
役務その他サービス
25件
金融コンサルティング
19件
他の内職・副業
13件
異性交際関連サービス
12件
22歳~25歳 エステサービス
192件
不動産貸借
45件
役務その他サービス
33件
異性交際関連サービス
27件
医療サービス
25件

美容関連…「化粧品」「健康食品」「エステサービス」「医療サービス」
交際関連…「異性交際関連サービス」
儲け話関連…「他の娯楽等情報配信サービス」「役務その他サービス」「金融コンサルティング」「他の内職・副業」 

 

【国民生活センターの商品・役務別分類】
商品一般…商品の特定ができない相談や、身に覚えのない架空請求等に関するもの
異性交際関連サービス…出会い系サイト・アプリに関するのもの
コンサート…音楽会、ディナー付き音楽ショー、コンサートの生配信に関するもの(チケットに関するものを含む。)
他の娯楽等情報配信サービス…趣味や娯楽を目的としたコンテンツ配信サービスに関するもの(副業サイト等の情報配信サービスを含む。)
役務その他サービス…様々なサービスに関するもの(稼ぎ方を指南するサポート契約サービス等を含む。)

 

相談傾向 -「美容」、「交際」、「儲け話」-

 17歳以下はインターネットゲームが大半ですが、通販で購入した化粧品などの「美容」に関する相談もありました。18歳・19歳になると、エステサービスなど実際に書面を交わす契約や「交際」サービスに関する相談が多くなり、20歳以降は役務その他サービス、金融コンサルティング、副業など「儲け話」に関する相談も多く寄せられました。

 


 

 事例1 お試しで1回だけ注文したはずの定期購入トラブル

 先月、スマートフォンでSNSを見ていたところ、通常1万円の美容液を初回限定価格2,000円で販売しているサイトの広告があった。販売サイトにアクセスし、お試しのつもりで注文し商品を受け取った。しかし、昨日同じ事業者から同じ商品が送られてきて、確認すると納品書に「定期購入」と書いてあった。驚いて事業者に何度も連絡しているが、電話がつながらず、どうしてよいか分からない。申込画面に定期購入とは書かれていなかったと思う。商品は返品するのでクーリング・オフして解約したい。(70歳代 女性)

センターからのアドバイス

 「お試しのつもりで申し込んだら定期購入だった」といった相談がセンターに多く寄せられています。ネット通販は通常、クーリング・オフの対象にはならず、解約や返品は事業者の規約に従うことになります。特定商取引法では、取引に関する基本的な事項を最終確認画面で明確に表示することが義務付けられています。しかし、表示自体はされていても小さく分かりづらい表示や、連絡が取りにくい事業者もみられます。ネット広告の「低価格」「初回限定」の表示をうのみにせず、まずは事業者の情報や購入画面の表示を入念に確認しましょう。

※クーリング・オフ:訪問販売や電話勧誘販売など不意打ち性のある勧誘で契約した際に、冷静に考え直す時間を与え、一定の期間内であれば無条件で申し込みの撤回や契約の解除ができる制度

 

事例2 エステサービス関連のトラブル

 先月、ネット広告をみて脱毛エステ店舗に出向いた。全身脱毛の2年間通い放題コースで108万円のコースを勧められた。1回10万円の施術を2年間で9回受けるコースだが、回数消化後も2年間は施術を受けられると説明され、36回払いにしてその場で契約した。後日、よく考えると高額で支払いが大変なので、解約したいと思い、事業者に伝えたところ12万円の支払いが必要と言われた。一回しか施術は受けていないのに、割高な精算金を支払うことに納得できない。(20歳代 男性)

センターからのアドバイス

 脱毛エステは長期間の施術を前提とする契約が多く、「通い放題」「○年間脱毛し放題」などとうたったコースで、中途解約・精算をするときにトラブルが生じたという相談が多くみられます。通い放題コースの場合「有償での施術期間・回数」と「無償での施術期間・回数(アフターサービス)」に分かれていて、精算にあたっては「有償の期間・回数」が基準となるケースが多く、思わぬ精算金額になることもあります。契約の際は、「もしも途中で解約したらどうなるか」想定し、必ず有償の期間・回数を契約書面で確認し、有償の期間に中途解約した場合の精算金額や、いつまで・何回まで通ったら中途解約ができなくなるのかを確認しましょう。

  

事例3 新成人18歳・19歳からの相談

 SNSで知り合った女性と仲良くなり、「会話を続けたいので、別のサイトに移って欲しい。」と言われ、有料の出会い系サイトを利用した。待ち合わせの約束をしようとしたが、文字化けして相手に伝わらなかった。「文字化けなくメッセージを交換するためにポイントを購入して欲しい。」と相手から言われ、コンビニで合計4万円のプリペイド式電子マネーを購入し裏面の記号番号を通知したが、その後、相手から音信がなくなった。サイトの連絡先など分からないが、返金して欲しい。(19歳 男性)

センターからのアドバイス

 SNS上では話の合う相手でも、本当に信頼できる相手かはわかりません。「会話を続けたい」「会いたい」などの投稿やメッセージはうのみにしてはいけません。お金を支払ったとたん、相手と連絡が取れなくなることもあります。本当に信用できる相手なのか、慎重に判断しましょう。また、個人情報や自分の写真・身元が分かるような書き込みをして、知られてしまった個人情報は取り戻すことはできません。SNSで安易に投稿しないようにしましょう。

 


 

消費生活相談概要(資料編)

令和4(2022)年度(令和4年4月1日~令和5年3月31日)

利用上の注意
 各表における区分毎の各割合(%)の数値は、小数点第2位で四捨五入しています。このため、区分毎の割合の合計は100%にならない場合があります。

 

相談受付件数 (表1) 

区分令和4年度 令和3年度 増減(対前年度増減率)
苦情相談 14,123件(95.9%) 13,852件(95.3%) 271件(2.0%)
問合せ 609件(4.1%) 687件(4.7%) -78件(-11.4%)
14,732件(100.0%) 14,539件(100.0%) 193件(1.3%)
       
電話の自動音声応答※

4,790件(75.1%)

763件(57.1%) 4,027件(527.8%)
メール相談 1,586件(24.9%) 574件(42.9%) 1,012件(176.3%)
6,376件(100.0%) 1,337件(100.0%) 5,039件(376.9%)
       
合計 21,108件( - ) 15,876件( - ) 5,232件(33.0%)
 ※電話の自動音声応答・・・IVR電話システムの受付項目「注文した覚えのない商品の対処法」「事業者・家族相隣・労働」に関する相談で、ガイダンスに納得したため電話相談までには至らず解決したとみなしたもの。

 

契約者性別等件数(表2)

区分令和4年度 令和3年度 増減(対前年度増減率)
女性 8,043件(54.6%) 7,442件(51.2%) 601件(8.1%)
男性 6,023件(40.9%) 6,232件(42.9%) -209件(-3.4%)
団体 302件(2.0%) 471件(3.2%) -169件(-35.9%)
不明 364件(2.5%) 394件(2.7%) -30件(-7.6%)
14,732件(100.0%) 14,539件(100.0%) 193件(1.3%)

 

相談の上位10品目  商品・役務別件数(表3)

順位商品・役務名令和4年度令和3年度増減(対前年度増減率)
1 化粧品 1,286件(8.7%) 669件(4.6%) 617件(92.2%)
2 商品一般 875件(5.9%) 896件(6.2%) -21件(-2.3%)
3 不動産貸借 669件(4.5%) 802件(5.5%) -133件(-16.6%)
4 工事・建築 655件(4.4%) 759件(5.2%) -104件(-13.7%)
5 エステサービス 578件(3.9%) 159件(1.1%) 419件(263.5%)
6 役務その他サービス 491件(3.3%) 466件(3.2%) 25件(5.4%)
7 健康食品 411件(2.8%) 372件(2.6%) 39件(10.5%)
8 修理サービス 305件(2.1%) 347件(2.4%) -42件(-12.1%)
9 携帯電話サービス 283件(1.9%) 337件(2.3%) -54件(-16.0%)
10 インターネット接続回線 249件(1.7%) 316件(2.2%) -67件(-21.2%)
その他 8,930件(60.6%) 9,416件(64.7%) -486件(-5.2%)
14,732件(100.0%) 14,539件(100.0%) 193件(1.3%)


年代別上位5品目  商品・役務別件数(表4)

順位12345
17歳以下 インターネットゲーム
73件
化粧品
33件
健康食品
19件
アダルト情報
9件
商品一般
6件
18歳~29歳 エステサービス
419件
不動産貸借
135件
役務その他サービス
87件
異性交際関連サービス
73件
商品一般
65件
30歳代 不動産貸借
161件
エステサービス
77件
化粧品
67件
商品一般
50件
修理サービス
36件
40歳代 化粧品
190件
不動産貸借
123件
商品一般
74件
工事・建築
57件
健康食品
49件
50歳代 化粧品
322件
商品一般
138件
工事・建築
101件
不動産貸借
91件
健康食品
91件
60歳代 化粧品
287件
商品一般
121件
工事・建築
110件
役務その他サービス
70件
健康食品
68件
70歳代 化粧品
226件
商品一般
161件
工事・建築
124件
役務その他サービス
92件
携帯電話サービス
64件
80歳以上 工事・建築
155件
商品一般
109件
化粧品
88件
役務その他サービス
62件
健康食品
60件
【国民生活センターの商品・役務別分類】
商品一般…商品の特定ができない相談や、身に覚えのない架空請求等に関するもの
化粧品…基礎化粧品、化粧石鹸、歯みがき粉、マニキュア、脱毛剤等に関するもの
不動産貸借…賃貸住宅退去時の修繕費等に関するもの
工事・建築…屋根工事・増改築工事・衛生設備工事等に関するもの
異性交際関連サービス…出会い系サイト・アプリに関するもの
役務その他サービス…サービス業のうち「金融・保健」「運輸・通信」「教育」「教養・娯楽」「保健・福祉」「外食・食事宅配」「冠婚葬祭」「家事」等のサービスに該当しない役務に関するもの

 

【お問合せ先】
経済局消費経済課長       畠山 重徳
横浜市消費生活総合センター長  魚本 一司

 

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