相談データ・分析

令和5年度 消費生活相談の傾向

2024年07月09日

屋根や給湯器などの点検商法トラブルやもうけ話に関するトラブルが増加しています

 横浜市では、市民の皆様の安心・安全な消費生活の実現のため、横浜市消費生活総合センターにおいて商品・サービスに関する契約トラブル等についてのご相談をお受けし、その解決のサポートを行っています。令和5年度に寄せられた消費生活相談の特徴としては、「屋根や給湯器などの点検商法トラブル」が高齢者を中心に増加したことが挙げられます。また、「SNS上で勧誘される詐欺的な投資話」、「簡単に稼げるとうたう高額な副業サポート契約」など、もうけ話に関する相談も増加しました。「貯蓄から投資へ」の流れが加速する中で、全世代で投資等への関心が高まっていることが背景にあると思われます。

 

<全体概況>

  1. 消費生活相談の受付件数は、15,004件(前年比1.8%、272件増)

       【相談件数推移】

       令和3年度 14,539件、令和4年度 14,732件、令和5年度 15,004件 

  2. 60歳代以上の相談が増加し、特に80歳以上の相談が前年度比14.7%増加

       【令和5年度 年代別対前年増減率】

       17歳以下 -3.1%、18から29歳 -9.5%、30歳代 -5.5%、40歳代 -10.9%、50歳代 -3.5%、60歳代 6.7%、70歳代 6.3%、80歳以上 14.7%

  3. 販売購入形態別にみると、訪問販売が2,238件(前年比36.3%増)、電話勧誘販売が685件(前年比33.5%増)、訪問購入が169件(前年比64.1%増)と伸び率が高くなっています。
訪問購入:不用品を買い取ると言われ訪問を承諾したところ、強引に貴金属を安価で買い取られるなどの相談

 

 1 点検商法のトラブルが80歳以上に増加傾向(下記事例1参照)

 「屋根瓦がずれているので点検します」と言って点検したあと、「このままだと雨漏りして大変なことになる」などと不安をあおり工事の契約をする点検商法の相談が634件と、前年比約1.6倍に増加しました。

 契約当事者の年代でみると高齢者からの相談が多く、特に80歳以上」が突出して多くなっています。

 契約金額の区分では10万円以上50万円未満」が41.9%と最多となり、平均契約金額は約119万円となりました。

 

  1. 点検商法の相談件数
       令和4年度 395件、令和5年度 634件で約1.6倍増
     ・屋根工事 令和4年度136件が令和5年度177件
     ・給湯器  令和4年度43件が令和5年度115件

  2. 80歳以上が突出して多い
       40歳未満 26件、40歳代 29件、50歳代 74件、60歳代 86件、70歳代 137件、80歳以上 258件、不明 24件

  3. 契約金額は10万円以上50万円未満が最多(不明除く)
       10万円未満 31件 9.3%、10万円以上50万円未満 139件 41.9%、50万円以上100万円未満 65件 19.6%、100万円以上 97件 29.2% 

 

 

2 もうけ話「投資トラブル」に注意(下記事例2参照)

 著名人を名乗り「儲かる方法を教えます」などと投資や出資を勧誘する利殖商法の相談が326件と、前年比約2.1倍に増加しました。このうち、230件(約70.6%)は、ホームページやSNSのターゲッティング広告から誘導され取引を持ちかけられています。また、マッチングアプリで知り合った面識のない人から無料通話アプリの投資グループに誘われるケースもみられます。

 契約金額の区分では500万円以上」が最多となり、平均契約金額は約723万円となるなど、高額な契約も目立ちます。

 支払手段は口座振込などの「現金払」が全体の85を占めています。

 

  1. 利殖商法の相談件数
       令和4年度 153件、令和5年度 326件で約2.1倍(うち70.6%が電子公告)

  2. 幅広い年代から相談が寄せられている
       29歳以下 51件、30歳代 35件、40歳代 41件、50歳代 73件、60歳代 65件、70歳代 28件、80歳以上 24件、不明 9件

  3. 契約金額は500万円以上が最多(不明除く)
          10万円未満 32件 11%、10万円以上50万円未満 42件 14.4%、50万円以上100万円未満 36件 12.3%、100万円以上500万円未満 86件 29.5%、500万円以上 96件 32.9%
  4. 支払手段は現金払が85.0%(不明除く)
       現金払い 221件 85%、販売信用(クレジット) 39件 15%

 

 

3 もうけ話「副業トラブル」に注意 (下記事例3参照)

 「1日数万円稼げる」などのSNS広告から、副業の高額サポート契約を勧誘されるといった相談が306件と、前年比約1.3倍に増加しました。契約当事者が29歳以下の相談が多いのが特徴ですが、3050歳代の相談も多く寄せられています。

 契約金額の区分では、100万円未満の割合が69.1%で、平均契約金額は約123万円です。

 支払手段は「販売信用(クレジット)」の割合が42.4%と高く、また、「現金払」のうち半数近くの64件は消費者金融で借金するよう指示されています。支払能力が低い者にも強引に勧誘するため注意が必要です。

 

  1. 29歳以下の相談が最多
       29歳以下 142件、30歳代 59件、40歳代 34件、50歳代 44件、60歳代 12件、70歳代 10件、80歳以上 1件、不明 4件

  2. 契約金額は100万円未満が69.1%(不明除く)
       10万円未満 68件 24.5%、10万円以上50万円未満 69件 24.8%、50万円以上100万円未満 55件 19.8%、100万円以上500万円未満 78件 28.1%、500万円以上 8件 2.9%

  3. 支払手段は販売信用(クレジット)の割合が42.4%(不明除く)
        現金払い 140件 57.6%、販売信用(クレジット) 103件 42.4%

 


 

 事例1 点検商法

 「ガス給湯器の無料点検に伺いたい」と業者から突然電話があり、電話を受けた高齢の母が来訪を承諾してしまった。後日、業者が来訪すると「このままでは壊れる。火災の心配もある」などと一方的に言われ、母は断り切れず契約したようだ。解約を希望したい。(契約当事者 80歳代 女性)

 「近所で工事をしていて、お宅の屋根がはがれかかっているのが見えた」と業者が訪問してきた。近所に迷惑をかけてはいけないと思い、屋根工事の契約をしてしまった。よく考えると、我が家は近所から屋根を見ることはできないはずだ。不審なので解約したい。(契約当事者 70歳代 男性)

センターからのアドバイス

  • 突然訪問してきた業者には、安易に点検させないようにしましょう。
  • 「近所で工事をしている」「無料で点検」「火災の危険がある」「台風が来たら雨漏りする」「瓦が飛んで近所に迷惑がかかる」「保険金を使って修理できる」などの勧誘トークに気をつけましょう。
  • 特定商取引法上の訪問販売に該当する場合は、契約書面を受け取った日から8日以内であればクーリング・オフできます。
※クーリング・オフ:訪問販売や電話勧誘販売など不意打ち性のある勧誘で契約した際に、冷静に考え直す時間を与え、一定の期間内であれば無条件で申し込みの撤回や契約の解除ができる制度

 

事例2 投資トラブル(利殖商法)

 有名な経済評論家が紹介していたFX投資勉強会のグループメッセージアプリに登録した。担当者の指示に従って投資のため複数回入金したが、振込先の銀行と名義人はその都度違っていた。アプリの画面上では600万円の投資に対し200万円の利益が出ていたのに、担当者に出金したいと伝えると「税金を支払う必要がある」と言われて50万円を支払った。さらに「システムが止まった」と言われ200万円を支払ったが、利用した銀行から「詐欺に遭っていませんか」と電話があった。返金してほしい。(契約当事者 60歳代 男性)

センターからのアドバイス

  • ネット上には無断で著名人の画像を使用したフェイク広告や、偽アカウントが多数存在します。ネット情報をうのみにしないよう注意しましょう。
  • 日本の居住者を相手に株取引やFX取引、暗号資産取引などを行う場合は、日本の法令に基づく登録が必要です。金融庁に届出のない無登録業者とは、絶対に取引しないようにしましょう。
  • 事業者の連絡先がSNS(無料通話アプリ等)だけの場合は、連絡が取れなくなる可能性が高く、お金を支払ってしまうと被害の回復は極めて困難となるため、取引しないようにしましょう。

  

事例3 副業トラブル(サイドビジネス商法)

 副業サイトの電子広告を見て無料メッセージアプリに登録し、個人情報を伝えたところ、業者から電話で「ホームページを作成し再販する仕事で毎月50万円稼げるので、ネット銀行の口座を作るように」と指示があり従った。昨日、再度電話があり詳しい仕事内容とサポートコースの説明をされ、500万円のコースを申し込んだ。その後画面共有アプリをインストールし、事業資金として5社の消費者金融のサイトから合計350万円を借りて業者の銀行口座に振り込んだ。おかしいと思いつつも、画面共有だったので断れなかった。ネットで調べると業者の詐欺情報が掲載されており、解約して返金してほしい。(契約当事者20歳代 男性)

センターからのアドバイス

  • 「短時間で簡単に稼げる」などのSNS広告をうのみにしないよう注意しましょう。
  • 作業内容や利益が出る仕組みがよく分からない場合は、契約しないようにしましょう。
  • 連絡先がSNSだけの事業者とは取引しないようにしましょう。
  • 「借金」をしてまで高額な契約をしないようにしましょう。
  • 遠隔操作アプリをインストールさせて借金するよう指示される場合があります。万一、貸金業者に登録してしまった場合は、IDやパスワードを変更し悪用防止対策を取りましょう。

 


 

消費生活相談概要(資料編)

令和5(2023)年度(令和5年4月1日~令和6年3月31日)

注意:各表における区分ごとの割合(%)は、小数点第2位で四捨五入しており、合計は100%にならない場合があります。

 

相談受付件数 (表1) 

区分令和5年度 令和4年度 増減(対前年度増減率)
苦情相談 14,351件(95.6%) 14,123件(95.9%) 228件(1.6%)
問合せ 653件(4.4%) 609件(4.1%) 44件(7.2%)
15,004件(100.0%) 14,732件(100.0%) 272件(1.8%)
       
電話の自動音声応答※ 6,339件(78.6%) 4,790件(75.1%) 1,549件(32.3%)
メール相談 1,723件(21.4%) 1,586件(24.9%) 137件(8.6%)
8,062件(100.0%) 6,376件(100.0%) 1,686件(26.4%)
       
合計 23,066件( - ) 21,108件( - ) 1,958件(9.3%)
 ※電話の自動音声応答・・・IVR電話システムの受付項目「通販で商品が届かない・偽物が届いたなど偽サイト」「事業者・家族相隣・労働」に関する相談で、ガイダンスに納得したため電話相談までには至らず解決したとみなしたもの。

 

契約当事者年代別件数(表2)

区分令和5年度令和4年度増減増減率
17歳以下 190件 196件 -6件 -3.1%
18~29歳 1,832件 2,025件 -193件 -9.5%
30歳代 1,457件 1,541件 -84件 -5.5%
40歳代 1,769件 1,985件 -216件 -10.9%
50歳代 2,572件 2,665件 -93件 -3.5%
60歳代 2,034件 1,907件 127件 6.7%
70歳代 2,017件 1,897件 120件 6.3%
80歳以上 1,657件 1,445件 212件 14.7%
不明 1,476件 1,071件 405件 37.8%
合計 15,004件 14,732件 272件 1.8%

 

販売購入形態別件数(表3) 

区分令和5年度令和4年度増減増減率
通信販売 5,328件 6,164件 -836件 -13.6%
店舗購入 2,991件 2,967件 24件 0.8%
訪問販売 2,238件 1,642件 596件 36.3%
電話勧誘販売 685件 513件 172件 33.5%
訪問購入 169件 103件 66件 64.1%
その他無店舗 76件 77件 -1件 -1.3%
ネガティブオプション 45件 46件 -1件 -2.2%
マルチ・マルチまがい 40件 91件 -51件 -56.0%
不明 3,432件 3,129件 303件 9.7%
合計 15,004件 14,732件 272件 1.8%

 

 

相談の上位10品目  商品・役務別件数(表4)

順位商品・役務名令和5年度令和4年度増減(対前年度増減率)
1 商品一般 1,079件(7.2%) 875件(5.9%) 204件(23.3%)
2 化粧品 879件(5.9%) 1,286件(8.7%) -407件(-31.6%)
3 工事・建築 803件(5.4%) 655件(4.4%) 148件(22.6%)
4 不動産貸借 739件(4.9%) 669件(4.5%) 70件(10.5%)
5 役務その他サービス 668件(4.5%) 491件(3.3%) 177件(36.0%)
6 修理サービス 429件(2.9%) 305件(2.1%) 124件(40.7%)
7 健康食品 408件(2.7%) 411件(2.8%) -3件(-0.7%)
8 エステサービス 329件(2.2%) 578件(3.9%) -249件(-43.1%)
9 インターネット接続回線 312件(2.1%) 249件(1.7%) 63件(25.3%)
10 医療サービス 311件(2.1%) 158件(1.1%) 153件(96.8%)
その他 9,047件(60.3%) 9,055件(61.5%) -8件(-0.1%)
15,004件(100.0%) 14,732件(100.0%) 272件(1.8%)


年代別上位5品目  商品・役務別件数(表4)

順位12345
17歳以下 インターネットゲーム
97件
化粧品
12件
商品一般
11件
健康食品
6件

他の娯楽等情報配信サービス
4件

18歳~29歳 エステサービス
225件
医療サービス
132件
不動産貸借
131件
役務その他サービス
109件
商品一般
59件
30歳代 不動産貸借
156件
役務その他サービス
64件
商品一般
61件
医療サービス
61件
エステサービス
50件
40歳代 不動産貸借
136件
商品一般
92件
化粧品
84件
工事・建築
73件
修理サービス
56件
50歳代 化粧品
227件
商品一般
149件
工事・建築
133件
不動産貸借
120件
修理サービス
80件
60歳代 化粧品
197件
商品一般
163件
工事・建築
119件
役務その他サービス
89件
健康食品
71件
70歳代 化粧品
200件
商品一般
165件
工事・建築
142件
役務その他サービス
118件
健康食品
79件
80歳以上 工事・建築
208件
商品一般
102件
役務その他サービス
101件
給湯システム
85件
健康食品
77件
【国民生活センターの商品・役務別分類】
商品一般…商品の特定ができない相談や、身に覚えのない架空請求等に関するもの
化粧品…基礎化粧品、化粧石鹸、歯みがき粉、マニキュア、脱毛剤等に関するもの
不動産貸借…賃貸住宅退去時の修繕費等に関するもの
工事・建築…屋根工事・増改築工事・衛生設備工事等に関するもの
役務その他サービス…サービス業のうち「金融・保健」「運輸・通信」「教育」「教養・娯楽」「保健・福祉」「外食・食事宅配」「冠婚葬祭」「家事」等のサービスに該当しない役務に関するもの

 

【お問合せ先】
経済局消費経済課長       畠山 重徳
横浜市消費生活総合センター長  魚本 一司

 

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